「トレーナーのためのブラッシュアップ講座」の報告
2014年3月1日、大阪教育大学天王寺キャンパスにて、春日井敏之先生(研究調査委員長・立命館大学)、伊藤洋子先生を講師に「トレーナーのためのブラッシュアップ講座」を開催いたしました。
春日井先生からはピア・サポートのめざすものは何かという問いに対して、「生きる力」との関連において、次のようにお話をいただきました。
「生きる力を考えたときに、自分の力だけで社会で生きていく力を強調するあまり、孤立して生きる力として機能し、子どもたちが追い込まれている状況があるのではないか。そうではなくて、つながって生きる力が大切であり、これはお多大がつながり合って社会の中で自分を生きる力とも言える。そのために、ピア・サポートという考え方がとても重要であり、①誰かを助けてつながる力、②誰かに助けてもらってつながる力、③誰かと楽しいこと、やりたいことを一緒にやってつながる力。この3つの力を引き出すことである。」とお話をいただきました。
助けてほしいときには、自分の力で自立しなければと頑張るのではなくて、助けてほしいときには、「助けて」と言える力が大切です。ピア・サポートは悩みをもつ仲間をサポートするだけでなく、一緒に何かをなして楽しむことも大切であり、その中で気付いたら頑張っていたということが、自然に生まれてくるものであるのではないかと、不登校を経験した大学生の事例を通してお話をいただきました。受講された先生方に大きな気づきと実践の新たな方向性を見出すことができたのではないかと思います。
また、伊藤先生からはいじめの問題にきちんと教師も子どもも向き合うことの大切さ、子どもが子どもに働きかける醍醐味が実践を通して伝わってきました。伊藤先生の子どもを愛する気持ちや、自分が信じることを成し遂げる意思の強さに多くのものを学ぶことができました。浜松市の江の島高校の山口先生(研修委員)からも高校での実践を映像や新聞記事を通して紹介いただきました。子どもと教師、子どもと保護者、校種を超えた活動と、多くの示唆をいただくことができました。
このトレーナーのためのブラッシュアップ講座は毎年、東日本と西日本を中心に2回開催いたします。定員は10名と少人数で互いの実践を深めあう講座です。学会のホームページに開催案内を随時掲載する予定です。みなさんとの出会いをお持ちしております。
受講生の感想
◇日ごろどうしたらよいか、悩んでいましたが、いろいろなヒントを得られて良かったです。またあれば参加したいです。特に実践的な学びの機会が得られ、コメントを頂けたのがよかったです。明日からがんばってやっていけたらいいなあと思いました。(高校教員)
◇大変、有意義な研修でした。ありがとうございました。本音トークができたのが特に良かったです。(大学教員)
◇自分の中にあったモヤモヤ感が何なのか、わかってきました。私は生徒会にこだわっていたように思います。ピア・サポートは、どんな形でもどこでも展開することができると思いました。そして、自分は言葉が足りないと思います。「努力は、努力した人を裏切らない。ありがとう。さようなら・・・」今日教えていただいた言葉を大切に持ち帰ります。ありがとうございました。(高校教員)
◇講義1「ピア・サポート概論」をていねいに細くすることから始まり、とても内容の濃い一日でした。「自校化のためのプランニング」においては、今、自分がやるべきことを明確化できてよかったです。「社会の中でつながって生きる」・・など、こころに響いた言葉がたくさんありました。春日井先生をはじめ講師のン先生方、ありがとうございました。(中学校教員)
◇今日くるまでは、校内事情で少し壁にぶちあたった感覚でしたが、春日井先生の話を聞いて光が見えてきました。いろいろ納得できた一日でした。ありがとうございました。(特別支援学校教員)
◇勢いで申し込んでしまい、何か目的があった訳ではなかったのですが、春日井先生のお話を効いて学校でのピアを広げるチャンスがたくさん見つけられそうな気がします。サポートプランのプランニングをして、グループ内で話をする中で、気づかせてもらいました。また講師の先生方にスーパーバイズしていただいたことで、課題もみつかり、今後取り組んでいくための参考にしたいと思います。ありがとうございました。(小学校教員)
◇1人で考えていたプログラムの企画は漫然としていたものが、たくさんの人の意見をいただいて、明日からでも使えそうなほど具体的なものになりました。4月から実践していきたいと思います。ありがとうございました。(小学校教員)
文責:研修委員会